
突然、家族や警察などから「交通事故の示談金が必要だ」「トラブルが発生したためキャッシュカードを預けてほしい」という電話がかかってくることがあります。
しかし電話の相手は詐欺師である可能性が高く、このようにターゲットから言葉巧みに金銭をだまし取る“振り込め詐欺”が横行しています。
本記事では、具体的な詐欺の手口やだまされないための対策を解説します。
※本記事は 2025年2月25日時点の情報を基に作成しています。
振り込め詐欺とは
振り込め詐欺とは、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金詐欺といった詐欺の総称です。
詐欺師は主に電話やメールを使用して相手をだまし、預貯金口座に不正に金銭を振り込ませようとします。
振り込め詐欺の手口は年々巧妙になってきており、今後も新たな被害が生まれると考えられます。
振り込め詐欺の手口
詐欺師は家族や警察、弁護士などを装い、架空の事故に対する示談金やトラブルの和解金といった名目で金銭をだまし取ろうとします。
突然電話がかかってきても、詐欺師の話を簡単に信じないように、以下で解説する代表的な手口を把握しておきましょう。
※以下で解説する手口以外が用いられる可能性もあります。
【参考情報】
ゆうちょ銀行|振り込め詐欺等の犯罪事例について
振込型
詐欺師が家族や警察などを装い、人間関係のトラブルや事故で「解決のために至急お金が必要」などと言って、高額な金額を指定の銀行口座に振り込むように要求します。
家族を装う手口の場合、ターゲットにあやしまれないために、事前に「携帯の電話番号が変わった」「風邪で声が変わった」といった仕込みの電話をかけることもあります。
現金受取型
詐欺師が家族などを装う点は振込型と同じですが、この手口では「自宅まで取りに行くからお金を用意しておいてほしい」と要求されます。
その後、「自分は行けなくなったので、別の人を行かせる」と言って、本人ではない受け取り役が現金を取りに来ることに疑問を抱かせないようにします。
キャッシュカード受取型
警察官などを装った詐欺師から「あなたの口座が悪用されている。新しいキャッシュカードへの変更が必要だ。銀行協会の職員があなたの家に伺うので、キャッシュカードを預けてほしい」といった電話がかかってきます。
その後、銀行協会の職員になりすました受け取り役が自宅を訪ねてきて、キャッシュカードを受け取り、ATMで不正に現金を引き出します。
振り込め詐欺の被害状況
警察庁の調査によると、振り込め詐欺の被害額は年々増加しており、1件当たりの被害額は352.5万円で、令和5年より108.8万円も増加したという結果が出ました。
振り込め詐欺の中でも特に、オレオレ詐欺の認知件数と被害額が急増しています。
以下の表にて、令和3年から令和6年の認知件数と被害額の推移を記載しています。
警察庁|令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の 認知・検挙状況等について(暫定値版)
また、振り込め詐欺の被害者のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は65.4%です。
性別・年代別に見ると、被害者全体のうち男性高齢者の割合は21.3%なのに対し、女性高齢者は44.1%となっています。
特に女性の高齢被害者の割合が高いことがわかります。
【参考情報】
警察庁|令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の 認知・検挙状況等について(暫定値版)
振り込め詐欺救済法でだまし取られたお金が返ってくる?
振り込め詐欺救済法とは、振り込め詐欺などの犯罪に利用された預貯金口座への振り込みによって被害を受けた人々を支援するための法律です。
詐欺に使われた口座に一定の残高が残っている場合、その残高をもとに被害回復分配金を支給し、被害者の救済を図ります。
以下で、振り込め詐欺救済法の手続きの流れや返金率などを解説します。
振り込め詐欺救済法でお金が返ってくる流れ
振り込め詐欺救済法に基づき所定の手続きを行うと、以下の流れで被害金が返ってきます。
一般社団法人 全国銀行協会|振り込め詐欺救済法とは
一般的に公告とは、政府・公共団体が、ある事項を広く一般に知らせること、または公人・私人が法令上の義務により特定の事項を広く一般に知らせることを言います。
図に記載されている公告とは、振り込め詐欺や関連する犯罪の被害者に対する救済措置の情報を公表することを指します。
具体的には、被害者が救済を受けるための条件や手続き、支払申請の期間、振込先口座の預金残高など、重要な情報が含まれています。
振り込め詐欺救済法の公告とは
振り込め詐欺救済法に基づく公告は、原則として毎月1日と16日(休日の場合は翌営業日)に、預金保険機構のホームページ上で行われています。
公告を通じて、被害者の方々は、振り込んだ口座に関して振り込め詐欺救済法の手続きが行われているかどうか、手続きが進んでいる場合はその進捗状況などの情報を確認できます。
【参考情報】
預金保険機構|振り込め詐欺救済法に基づく公告
振り込め詐欺救済法の返金率
預金保険機構は、振り込め詐欺救済法にもとづく返金率を公表しています。
ここでいう返金率とは、犯罪に利用された後、救済法の手続きや凍結が完了した口座に残っていたお金のうち、実際に被害者に返金された割合のことを指します。
2023年度は、27.4億円のうち24.1億円が返金され、返金率は88%となりました。
12%は返金されませんでしたが、これは返金に必要な条件を満たしていなかったり、被害者の手続きに不備があったりしたことなどによるものです。
被害者は適切に手続きを行うことが重要です。
詐欺師の口座にだまし取られたお金が残っていた場合のみ、振り込め詐欺救済法の手続きの対象になります。
警察庁のデータで2023年度の被害額が133.5億円であったことを考えると、被害額の多くは被害者に返金されていないと言えます。
【参考情報】
預金保険機構|振り込め詐欺救済法に基づいて令和5年度中に実施した公告について
振り込め詐欺救済法の対象外
振り込め詐欺救済法では、振り込め詐欺だけでなく、ヤミ金融や未公開株詐欺などの被害も対象とされています。
ただし、振込先口座の残高が1,000円未満の場合は、支払いの対象とはならないため注意が必要です。
また、預金口座などへの振り込みがされていない場合も、振り込め詐欺救済法の適用外となるため、詐欺の種類や状況によっては救済を受けられないことがあります。
振り込め詐欺の被害を受けないための対策
詐欺師は、言葉巧みにターゲットをだまそうとします。
お金を渡す前に、まずその電話の話が事実か疑い、真偽を確認することが大切です。
ここでは、振り込め詐欺と思われる電話に出てしまったときにできる対策や事前の備えをいくつか紹介します。
特殊詐欺・振り込め詐欺の常套句を目に入るところに貼っておく
振り込め詐欺の常套句が書かれた紙を目に入るところに置いておくことで、あやしい話をされたときに振り込め詐欺を疑うきっかけになります。
警察や金融機関は振り込め詐欺の注意喚起のチラシを配布しています。
電話機の横など目に入るところに置いておきましょう。
【参考情報】
警察庁|「国民を詐欺から守るための総合対策」の決定
静岡県警察|特殊詐欺被害防止ポスター&チラシ
家族、警察、消費生活センター、金融機関などへ相談する
振り込め詐欺では、家族のトラブルを装った事例が多く報告されています。
家族がトラブルに巻き込まれたと聞くと動揺してしまうかもしれませんが、まずは普段連絡を取っている方法でその家族に事実確認をしましょう。
家族しか知らないことを電話の相手に質問してみることも、電話口の人物が本当に家族かどうか確認するのに有効です。
自分で詐欺かを判断するのが難しい場合は、最寄りの警察や消費生活センター、金融機関などへ相談しましょう。
金融機関では、詐欺被害にあっていると思われる人に職員が声をかけていることもあります。
金融機関の職員が、第三者の目線で不審な点に気づいてくれる可能性があるため、自分は詐欺にあわないから大丈夫だと思い込まずに、振り込みの理由を聞かれたら彼らに相談してみましょう。
【参考情報】
警察庁|各都道府県の特殊詐欺対策ページ
独立行政法人 国民生活センター|全国の消費生活センター等
知らない人に現金やキャッシュカードを渡さない
振り込め詐欺の中には、代理人を装い知らない人が現金やキャッシュカードを受け取りに来る事例も報告されています。
知らない人に現金やキャッシュカードを渡さないようにしましょう。
知らない番号からの電話には出ない
知らない番号からの電話には出ずに、まずはインターネットで番号を検索してください。
その電話番号が「詐欺に使われている」といった口コミが見つかる可能性があります。
詐欺電話を疑う口コミが見つかった際は、電話番号を着信拒否しましょう。
【関連記事】
在宅時でも留守番電話の設定をしておく
詐欺師は、自分の声を証拠として残されることを嫌がります。
「振り込め詐欺防止のため、知らない番号からの電話には出ず、留守番電話を設定している。用件があればメッセージを残してほしい」といった留守番電話メッセージを設定しておくことで、詐欺師からの電話を抑止できます。
警察が紹介する“振り込め詐欺防止の留守番電話メッセージ”を参考に設定しましょう。
【参考情報】
千葉県警察|留守番電話応答メッセージ
北海道警察|特殊詐欺被害防止には留守番電話が有効です
固定電話の場合はナンバーディスプレイ・特殊詐欺対策機器を使う
固定電話の「ナンバーディスプレイ」機能を活用することで、発信元の電話番号を表示することが可能です。
この機能により、知らない電話番号かどうかを事前に確認できるため、詐欺につながる電話に応答するリスクを減らすことができます。
また、自動で警告や録音を行う機能を備えた電話機や、現在使用している電話機に後から取り付けられる対策機器も効果的です。
詐欺電話・迷惑電話の対策アプリを導入する
スマートフォン用には詐欺電話や迷惑電話の着信を自動でブロックするアプリがあります。
【トレンドマイクロ 詐欺バスターで詐欺電話をブロック!】

トレンドマイクロ 詐欺バスターは詐欺電話やネット詐欺をブロックする詐欺対策専用アプリです。
発信および着信時に特殊詐欺の疑いがある場合は画面上に警告を表示します。ブロック設定を有効にすることで、発着信の自動的な切電も可能です。
※iPadOSでは詐欺電話対策はご利用いただけません。iOSでは発信時のブロック(自動的な切電)はご利用いただけません。
以下のアプリストアより、無料でインストールしましょう。

QRコードからアプリをインストールする
トレンドマイクロ 詐欺バスターのその他の機能(クリックして詳しく見る)

怪しいWebサイトやテキストメッセージ、オンライン広告をスクリーンショットで撮影し、その写真をアプリに送信すると、詐欺の可能性がないか、AIがチェックします。

詐欺の可能性があるメッセージをSMSフィルタで識別し、迷惑メッセージフォルダに自動で振り分けます。

個人情報や金銭を狙うフィッシングサイトや、不正アプリをダウンロードさせるサイトなどの、不正なサイトへのアクセスをブロックします。
※ iOS・iPadOSではSafariのみ対応

ビデオ通話やライブ配信において、ディープフェイクによるなりすましの可能性がある際は警告を表示します。LINE、Instagramなどの、ビデオ通話機能やライブ配信機能があるアプリ各種でご利用いただけます。
詐欺バスターの詳しい説明はこちら

トレンドマイクロ 詐欺バスター3台版はご自身とご家族※のスマートフォンで、最大3台までご利用いただけます。
※同居の家族もしくは同居していない親と子
大切な人を詐欺被害から守るために、家族で一緒に対策を始めませんか?
「自分は大丈夫」と思わず、警察などに相談しましょう
「自分はだまされないから大丈夫」と思っていても、いざ電話がかかってきたときに相手のペースに乗せられて、詐欺師の話を信じてしまうおそれがあります。
第三者の視点で不審な点に気がつく場合もあるため、お金を渡す前に一度最寄りの警察や金融機関へ相談してください。
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- TREND MICRO、およびウイルスバスターはトレンドマイクロ株式会社の登録商標です。
- 「Android」、「Google Play」はGoogle LLCの商標です。
- 「iOS」、「iPadOS」、「MacOS」、「App Store」はApple inc. の商標です。
- 「Microsoft」はMicrosoft Corporation の商標です。