「+」から始まる電話番号は国際電話ですが、最近詐欺を目的とした国際電話が増えています。
本記事では、国際電話を使った詐欺(国際電話詐欺)の手口や予防策について解説します。
「+1」から始まる電話番号はどこの番号?
「+1」から始まる電話番号は、アメリカまたはカナダからの国際電話であることを表しています。
国際電話番号は、国際電話識別番号と呼ばれる「+」と、国ごとに割り当てられた国番号から始まります。
国番号として「1」が割り振られている国はアメリカとカナダであるため、これらの国からかかってきた電話の番号は「+1」から始まるのです。
しかし、「+1」から始まるからといって必ずしもアメリカやカナダから電話をかけてきているとは限りません。
番号によっては、インターネットや海外のアプリから取得したり、日本で取得した番号を偽装したりすることもできます。
最近は国際電話番号を悪用した詐欺が増えているため、国際電話がかかってきたときは、国番号一覧で発信元の国を調べてみましょう。
発信元の国に心当たりがない場合は注意が必要です。
ここからは、国際電話詐欺に使われやすい以下の番号について解説します。
+1(844)から始まる電話番号
冒頭の「+1」はアメリカまたはカナダからの国際電話であることを表し、次に続く「844」はアメリカやカナダで使用されるトールフリー番号(着信課金番号)であることを表しています。
トールフリー番号とは、日本のフリーダイヤルなどに相当します。
+1(844)から始まる電話番号は必ずしも詐欺電話だとは限りませんが、多くの詐欺被害が確認されているため、注意しましょう。
+1(855)から始まる電話番号
冒頭の「+1」はアメリカまたはカナダからの国際電話であることを表し、次に続く「855」はアメリカやカナダで使用されるトールフリー番号(着信課金番号)であることを表しています。
トールフリー番号とは、日本のフリーダイヤルなどに相当します。
+1(855)から始まる電話番号は必ずしも詐欺電話だとは限りませんが、比較的詐欺に使われやすい番号であるため注意しましょう。
+1(200)から始まる電話番号
冒頭の「+1」はアメリカまたはカナダからの国際電話であることを表しており、次に続く「200」は市外局番に当たります。
しかし、アメリカとカナダで「200」が割り当てられている地域はありません。
国番号として「+12」「+120」「+1200」が割り当てられている国もないため、 +1(200)から始まる電話番号は偽装された電話番号である可能性が高いです。
+1(700)から始まる電話番号
冒頭の「+1」はアメリカまたはカナダからの国際電話であることを表しており、次に続く「700」は一部の通信事業者などが使う特殊な番号です。
国番号として「+17」「+170」「+1700」が割り当てられている国や、市外局番として「700」が割り当てられている地域もないため、 +1(700)から始まる電話番号に心当たりがない場合は偽装された電話番号である可能性が高いです。
国際電話に出てしまった場合に料金はかかる?
日本の携帯キャリアで契約している電話番号に国際電話がかかってきた場合、日本国内で電話に出ても通話料金などは発生しません。
ただし、国際電話に折り返して電話をかけてしまった場合、高額な通話料金を請求される可能性があります。
また、海外で電話に出てしまった場合や、海外で契約している電話番号にかかってきた電話の場合は、料金が発生します。
身に覚えのない国際電話に出たり折り返したりしないようにしましょう。
令和5年以降、国際電話詐欺が増えています
令和5年6月に「050」で始まるIP電話番号の契約時の本人確認を義務化する方針が発表されました。
詐欺師は、自身の身元が特定されることを避けるため、IP電話番号の代わりに国際電話番号を詐欺に使うようになりました。
また、令和6年4月の「携帯電話不正利用防止法」の改正により、IP電話番号契約時の本人確認の義務付けが実際に開始されたことで、今後、国際電話番号の詐欺への悪用が更に増えていくことが予想されます。
国番号別の着信件数では、「+1(アメリカ、カナダ)」が最も多く、次いで「+800(国際フリーフォン)」や「+94(スリランカ)」などからの着信も確認されています。
※「+800(国際フリーフォン)」は、電話を受けた側が料金を負担する着信課金式の電話番号です。
発信元の国は電話番号の頭にある番号(+〇〇)で確認することができます。
【参考情報】
警察庁|令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
トビラシステムズ|特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート(2024年7月)
国際電話詐欺の事例
国際電話が突然かかってきたり、知らずのうちにかけた番号が国際電話だった場合、動揺してしまい、身に覚えのない話にだまされてしまうことがあるかもしれません。
代表的な国際電話詐欺の手口や事例を把握しておくことで冷静に対処ができますので、以下を確認してください。
※以下で紹介する手口以外の国際電話詐欺もあります。
架空料金請求詐欺
【実在する企業を装う手口】
大手企業を装い「未納料金がある」「サービスが停止する」などの自動音声ガイダンスが流れる国際電話が着信します。
その音声案内に従って携帯電話を操作したり、指定の電話番号に折り返し電話をかけたりすると、会員サイトなどの名目で利用料金を支払うように指示されます。
実際の事例:
東京都在住の40歳代女性は、「NTTファイナンス」を名乗る男性から国際電話の着信が携帯電話にあり、「サイト料金29万円が未納」という理由で、コンビニで電子マネーを購入するよう指示を受けました。
女性は身に覚えがなかったが不安になり20万円分のを購入し、さらに10万円分を買おうとしたところで店員に声をかけられ、詐欺と気づきました。
【参考情報】
読売新聞オンライン|着信に「+○○」ご注意…国際番号の詐欺電話が7~8月に急増、「北米」多いが国内でアプリ使用か
【公的機関を装う手口】
「中国大使館」や「厚生労働省」など、公的機関を名乗る自動音声ガイダンスが流れる国際電話が着信します。
「重要な書類がある」「担当者につなぐ場合は○番を押してください」などの案内で、詐欺師に繋げます。
詐欺師は、事務手数料などの名目で金銭の支払いや個人情報の提供を要求します。
実際の事例:
中国語のわかる女性が自動音声ガイダンスから中国の大使館員と公安局員をかたる人物との電話へ転送され、「犯罪行為をした」などと脅されて411万円をだまし取られる被害にあいました。
【参考情報】
トビラシステムズ|【特殊詐欺の電話に注意】中国大使館をかたる自動音声ガイダンス
Yahoo!JAPANニュース|謎の種送り付けに続く、謎の中国語の国際電話、その正体が判明!? 追記:被害発生状況
国際ワン切り詐欺
詐欺師からターゲットに国際電話をかけて、すぐに切断することで着信履歴を残し、ターゲットからの折り返し電話を狙います。
このような電話に折り返すと自動音声を聞かせて通話時間を引き延ばされ、高額な通話料金が発生します。
ターゲットが折り返し電話をかける際、国際電話の通話料金の一部が犯罪グループに支払われる仕組みになっているようです。
前述の事例と同様に、電話口の相手から、何かしらの名目で金銭を要求されることも考えられます。
【参考情報】
トビラシステムズ|不審な国際発信に関する調査レポート|国際ワン切り詐欺に折り返すとどうなる?
サポート詐欺
インターネット閲覧中に「ウイルスが検出された」など偽の警告が表示されることがあります。
画面上に表示された偽のサポート番号に電話をかけると、偽のオペレーターが「パソコンを遠隔操作して修理する」などと言ってサポートするふりをし、プリペイドカード購入やインターネットバンキングの送金等によって架空のサポート料金をだまし取ろうとします。
警告画面に表示される偽のサポート番号には、日本から国際電話をかける際に電話番号の頭につける「010」が使われている場合があります。
一見フリーダイヤルのように見えるため、正規のサポート窓口だと誤認した被害者が国際電話と気づかずに電話をかけてしまうおそれがあります。
実際の事例:
東京都内に住む50代の男性は、警告画面に表示された国際電話番号に電話をかけてしまい、マイクロソフト社員を名乗る犯人の指示で現金約49万円とプリペイドカード約60万円分をだまし取られました。
【参考情報】
時事通信ニュース|サポート詐欺、「口座屋」逮捕=他の特殊詐欺でも悪用か―警視庁
国際電話詐欺にあわないための予防策
国際電話詐欺の予防策をいくつか紹介します。
国際電話は海外にいる人と気軽にコミュニケーションができる便利なサービスです。
安心して国際電話を利用できるよう、事前に国際電話詐欺を防ぐ方法を把握しておきましょう。
知らない国際電話番号に注意する
知らない国際電話からの着信には出ないようにしましょう。
電話には出ずに、着信した電話番号を調べて、折り返す必要があるか確認してください。
詐欺電話・迷惑電話の対策サービスや専用機器の導入する
詐欺電話や迷惑電話に対しては、様々な対策サービスや専用機器が提供されています。
スマートフォン用には詐欺電話や迷惑電話の着信を自動でブロックするアプリがあります。
【トレンドマイクロ 詐欺バスターで詐欺電話をブロック!】
トレンドマイクロ 詐欺バスターは詐欺電話やネット詐欺をブロックする詐欺対策専用アプリです。
発信および着信時に特殊詐欺の疑いがある場合は画面上に警告を表示します。ブロック設定を有効にすることで、発着信の自動的な切電も可能です。
※iPadOSでは詐欺電話対策はご利用いただけません。iOSでは発信時のブロック(自動的な切電)はご利用いただけません。
以下のアプリストアより、無料でインストールしましょう。
QRコードからアプリをインストールする
トレンドマイクロ 詐欺バスターのその他の機能(クリックして詳しく見る)
怪しいWebサイトやテキストメッセージ、オンライン広告をスクリーンショットで撮影し、その写真をアプリに送信すると、詐欺の可能性がないか、AIがチェックします。
詐欺の可能性があるメッセージをSMSフィルタで識別し、迷惑メッセージフォルダに自動で振り分けます。
個人情報や金銭を狙うフィッシングサイトや、不正アプリをダウンロードさせるサイトなどの、不正なサイトへのアクセスをブロックします。
※ iOS・iPadOSではSafariのみ対応
ビデオ通話やライブ配信において、ディープフェイクによるなりすましの可能性がある際は警告を表示します。LINE、Instagramなどの、ビデオ通話機能やライブ配信機能があるアプリ各種でご利用いただけます。
また、固定電話用には、自動で録音する機能や電話番号を表示するナンバーディスプレイ機能が付いた電話機を利用しましょう。
詐欺師は音声の証拠が残ることを嫌うため、録音機能があることが詐欺行為の抑制につながります。
もし利用中の電話機に録音機能が付いていない場合は、電話機に後付けできる詐欺電話・迷惑電話対策機器を導入してもよいでしょう。
全国防犯協会連合会では、国際電話詐欺を含む特殊詐欺の予防に効果的な推奨優良防犯電話の一覧を紹介しています。
以下を参考に、利用している電話機に設置可能な迷惑電話対策機器を確認しましょう。
【参考情報】
全国防犯協会連合会|公益財団法人全国防犯協会連合会推奨優良防犯電話について
全国防犯協会連合会|優良防犯電話推奨品目録
知らない番号の国際電話には出ない、かけない。
すべての国際電話に詐欺の危険があるわけではありませんが、知らない番号の国際電話には出ない、折り返してかけないようにましょう。
発信元・発信先の電話番号の安全性を事前に確認することが大事です。
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