
「+1」から始まる電話は、海外からかかってきた国際電話です。
国際電話を利用した詐欺は近年増加傾向にあるため、注意が必要です。
本記事では、「+1」から始まる番号をはじめとした国際電話を使った詐欺(国際電話詐欺)の手口や対策を解説します。
※本記事は2025年6月10日時点の情報を基に作成しています。
「+1」から始まる電話番号はどこの国番号?
「+1」から始まる電話番号は、アメリカまたはカナダからの国際電話番号です。
国際電話番号は、電話番号の冒頭に「+(国際電話識別番号)」と、国ごとに割り当てられた1~3桁の数字(国番号)が記載されています。
どこの国からかかってきたかは、国番号から判断でき、「1」が割り当てられている国はアメリカとカナダです。
しかし、「+1」で始まるからといって必ずしもアメリカやカナダから電話をかけてきているとは限りません。
ここからは、国際電話詐欺に使われやすい以下の番号を解説します。
+1(844)または+1844から始まる電話番号
+1(844)または+1844から始まる電話は、アメリカまたはカナダからの国際電話です。
冒頭の「+1」の次に続く「844」はアメリカやカナダで利用されるトールフリー番号(着信課金番号)です。
トールフリー番号とは、日本のフリーダイヤルなどと同等です。
+1(844)から始まる電話番号は必ずしも詐欺電話だとは限りませんが、多くの詐欺被害が確認されているため、注意しましょう。
+1(855)または+1855から始まる電話番号
+1(855)または+1855から始まる電話も、アメリカまたはカナダからの国際電話です。
冒頭の「+1」の次に続く「855」も、アメリカやカナダで利用されるトールフリー番号(着信課金番号)です。
+1(855)から始まる電話番号も必ずしも詐欺電話だとは限りませんが、詐欺に使われやすい番号であるため注意しましょう。
+1(200)または+1200から始まる電話番号
+1(200)または+1200から始まる電話番号は、偽装された電話番号の可能性が高いです。
冒頭の「+1」はアメリカまたはカナダの国番号を表し、次に続く「200」は市外局番に当たります。
しかし、アメリカとカナダで「200」が割り当てられている地域はありません。
国番号として「+12」「+120」「+1200」が割り当てられている国もないためです。
+1(700)または+1700から始まる電話番号
+1(700)または+1700から始まる電話番号は、アメリカまたはカナダからの国際電話番号ですが、一部の通信事業者などが使う特殊な番号です。
冒頭の「+1」はアメリカまたはカナダの国番号です。国番号として「+17」「+170」「+1700」が割り当てられている国はありません。
次に続く「700」は、市外局番として割り当てられている地域はなく、一部の通信事業者などが使う特殊な番号です。
なぜ自分に「+1」からのあやしい詐欺電話がかかってくる?
詐欺師が何かしらの手段で自分の電話番号を入手しているため、「+1」からのあやしい詐欺電話がかかってきます。
例えば、詐欺師は以下の方法で電話番号を手に入れます。
詐欺電話や迷惑電話をかける詐欺師が電話番号を入手する詳しい理由は、以下の記事で確認してください。
【関連記事】
自分の電話番号を他人に知られないためには、不必要にインターネット上に情報を載せないように注意しましょう。
「+1」からの電話に出てしまったらどうなる?高額料金請求の危険性は?
日本の携帯キャリアで契約している電話番号に国際電話がかかってきた際、日本国内で電話に出ても通話料金は発生しません。
ただし、国際電話に折り返してしまうと、高額な通話料金を請求される可能性があります。
また、海外で電話に出たり、海外で契約している電話番号に着信があったりした際は、料金が発生します。
また、国際電話に出ると番号の有効性が知られ、さらなる迷惑電話がかかってくる危険性があります。
身に覚えのない国際電話に出たり折り返したりしないようにしましょう。
令和5年以降、国際電話詐欺が増えています
- 警察庁の調査
-
詐欺師は身元の特定を避けるため、IP電話番号を詐欺に使用していましたが、令和5年6月以降は代わりに国際電話を利用するようになりました。
理由は、IP電話番号の契約時に本人確認を義務化する方針が発表されたためです。
また、令和6年4月の「携帯電話不正利用防止法」の改正により、IP電話番号契約時の本人確認の義務付けが実際に開始されたことで、今後も国際電話番号の詐欺への悪用が更に増えていくことが予想されます。
警察庁の調査では、令和6年の特殊詐欺に利用された電話番号は国際電話番号が最も多い結果となりました。
- トレンドマイクロの調査
-
以下は、スマートフォンにかかってくる詐欺の可能性がある不審な電話番号が、どのような種類に当てはまるかについてトレンドマイクロが調査をした結果です。
スマートフォンへの不審な電話番号は、「国際電話」からが最も多い結果となりました。
<調査概要>
調査名:セキュリティ市場調査
調査期間:2024年10月26日~10月28日
調査対象:インターネットの利用者5,159名(日本国内居住の15歳以上男女)
調査方法:Web調査警察庁やトレンドマイクロのデータが示すように、国際電話からの着信には十分な注意が必要です。
国際電話を悪用した詐欺の手口
以下で代表的な国際電話詐欺の手口や事例を紹介します。
※以下で紹介する手口以外の国際電話詐欺もあります。
架空料金請求詐欺
架空料金請求詐欺は、詐欺師が「未払いの料金があり、払わなければ裁判になる」などと連絡し、金銭をだまし取る詐欺のことです。詐欺師は国際電話を利用することが多いです。
以下のような手順で実行されます。

実際に以下のような詐欺被害が起きています。
東京都在住の40歳代女性は、「NTTファイナンス」を名乗る男性から国際電話の着信が携帯電話にあり、「サイト料金29万円が未納」という理由で、コンビニで電子マネーを購入するよう指示を受けました。
女性は身に覚えがなかったが不安になり20万円分を購入し、さらに10万円分を買おうとしたところで店員に声をかけられ、詐欺と気づきました。
【参考情報】
読売新聞オンライン|着信に「+○○」ご注意…国際番号の詐欺電話が7~8月に急増、「北米」多いが国内でアプリ使用か
国際ワン切り詐欺
国際ワン切り詐欺は、詐欺師がターゲットに国際電話をかけてすぐに切り、着信履歴を残して折り返し電話を誘います。
ターゲットが折り返すと、自動音声で通話時間を引き延ばされ高額な通話料が発生し、その一部が犯罪グループに渡る仕組みです。
以下のような手順で実行されます。

前述の事例と同様に、電話口で金銭を要求されることもあります。
【参考情報】
トビラシステムズ|不審な国際発信に関する調査レポート|国際ワン切り詐欺に折り返すとどうなる?
サポート詐欺
サポート詐欺は、インターネット利用中に偽の警告画面を表示し、ユーザに偽のサポート窓口へ電話をかけさせ、サポート料金などの名目で金銭をだまし取る詐欺のことです。
以下のような手順で実行されます。

偽のサポート番号は、国際電話番号であることを示す「010」が電話番号の頭についていることがあります。
フリーダイヤルと間違え、正規のサポート窓口だと誤認した被害者が国際電話と気づかずに電話をかけてしまうおそれがあります。
実際に以下のような詐欺被害が起きています。
女性のパソコンに「トロイの木馬に感染した」という警告画面が表示され、記載された「マイクロソフトサポートセンター」の番号に電話したところ、スタッフを名乗る男に遠隔操作ソフトのインストールを指示されました。
その結果、女性のネットバンキング口座から現金200万円が不正に送金されました。
以下の記事で、サポート詐欺の詳しい手口と対処法を確認してください。
【関連記事】
【参考記事】
神戸新聞NEXT|パソコンの「サポート詐欺」で200万円被害 スタッフ名乗る男が遠隔操作し送金 姫路
国際電話番号から着信があったときの対処法
見知らぬ国際電話番号から着信があっても、適切に対処すれば被害を最小限に抑えることができるため、以下のように対処しましょう。
発信元の電話番号を検索し、詐欺が疑われる番号の場合は着信拒否をする
身に覚えのない電話番号をインターネットで検索しましょう。
その電話番号が「詐欺に使われている」といった口コミが見つかる可能性があります。
詐欺電話を疑う口コミが見つかった際は、以下の記事を参考に着信拒否設定してください。
【関連記事】
電話に出てしまったら一度切って家族や警察に相談する
電話で個人情報の確認や金銭の支払い、振り込みを求められたら詐欺を疑いましょう。
詐欺師は被害者をあせらせるような会話をしますが、電話を折り返す旨を伝えるなどして、通話を終了させましょう。
その後家族や警察と相談して対応してください。
国際電話詐欺にあったと思われる場合の対処法
ここでは国際電話詐欺にあったと思われる場合の対処法を、以下の被害に分けて解説します。
お金を振り込んでしまった
ATMで振り込みを行ったなど、金銭的な被害が疑われる際は最寄りの警察に相談をしましょう。
なお、お金を振り込んでも「振り込め詐欺救済法」によってお金が戻ってくる可能性があります。
振り込め詐欺救済法とは、だまされたユーザの申請によって金融機関がオレオレ詐欺や架空料金請求詐欺などの振り込み先口座を凍結し、口座の残高に応じて被害額の全部または一部を被害回復分配金として受け取ることができる法律です。
警察に相談をした後に、振り込み先の金融機関にも相談してください。
【参考情報】
政府広報オンライン | 「振り込め詐欺救済法」に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。
金融庁 | 振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ
カードや銀行口座の暗証番号を教えてしまった
詐欺師にクレジットカードを渡したり、電話で暗証番号などを教えたりした場合は、カード会社や銀行にすぐに連絡してください。
その後の対応は、銀行やカード会社の案内に沿って必要な手続きを行いましょう。
主要なクレジットカード会社の問い合わせ先 ※クリックして開く
また金銭的な被害にあってしまった際は警察に被害の事実を連絡してください。
【参考情報】
警察庁| 各都道府県警察の特殊詐欺対策ページ
国際電話詐欺にだまされないための予防策
国際電話詐欺にだまされないためには、まずあやしい電話に出ないことが有効です。
万が一、電話に出ると詐欺師に電話番号が現在使われていることが知られるため、迷惑電話が増加する可能性があります。
その場合は、詐欺対策専用アプリの利用を検討しましょう。
ここではあやしい番号からの電話を通知したり、電話に出る前に発信元や要件を確認したりするなどの事前対策を紹介します。
詐欺対策専用アプリを利用する
詐欺対策専用アプリを使うことで、あやしい電話からの着信時に警告文を表示したり、電話をブロックしたりできます。
【トレンドマイクロ 詐欺バスターで詐欺電話をブロック!】

トレンドマイクロ 詐欺バスターは詐欺電話やネット詐欺をブロックする詐欺対策専用アプリです。
発信および着信時に特殊詐欺の疑いがある場合は画面上に警告を表示します。ブロック設定を有効にすることで、発着信の自動的な切電も可能です。
※iPadOSでは詐欺電話対策はご利用いただけません。iOSでは発信時のブロック(自動的な切電)はご利用いただけません。
以下のアプリストアより、30日間の無料体験版をインストールしましょう。

QRコードからアプリをインストールする
トレンドマイクロ 詐欺バスターのその他の機能(クリックして詳しく見る)

怪しいWebサイトやテキストメッセージ、オンライン広告をスクリーンショットで撮影し、その写真をアプリに送信すると、詐欺の可能性がないか、AIがチェックします。

詐欺の可能性があるメッセージをSMSフィルタで識別し、迷惑メッセージフォルダに自動で振り分けます。

個人情報や金銭を狙うフィッシングサイトや、不正アプリをダウンロードさせるサイトなどの、不正なサイトへのアクセスをブロックします。
※ iOS・iPadOSではSafariのみ対応

ビデオ通話やライブ配信において、ディープフェイクによるなりすましの可能性がある際は警告を表示します。LINE、Instagramなどの、ビデオ通話機能やライブ配信機能があるアプリ各種でご利用いただけます。
詐欺バスターの詳しい説明はこちら

トレンドマイクロ 詐欺バスター3台版はご自身とご家族※のスマートフォンで、最大3台までご利用いただけます。
※同居の家族もしくは同居していない親と子
大切な人を詐欺被害から守るために、家族で一緒に対策を始めませんか?
また、固定電話回線の提供会社が、特殊詐欺が疑われる電話の着信拒否サービスを提供しています。
機能詳細や利用料金は各サービス提供会社のサイトをご確認ください。
留守番電話対策を使う
在宅中でも留守番電話機能を使うことで、発信元や要件を確認した上で電話に出ることができます。
詐欺師は複数のターゲットに次々と電話をかけるため、特定のターゲットを狙う理由がない限り留守番電話にメッセージを残して、折り返しの電話を待つ可能性は低いです。
また、自分の声が証拠として残ることも嫌がります。
そのため留守番電話機能を有効にしておくだけでも詐欺対策になります。
【参考情報】
滋賀県警 | 「留守番ボタンをポチっと作戦」で特殊詐欺を予防しよう
ナンバー・ディスプレイを活用する
固定電話は「ナンバー・ディスプレイ」機能を使うことで、着信時に発信元の電話番号が確認できます。
70歳以上または70歳以上の方と同居している契約者は無料で利用も可能です。
【参考情報】
NTT東日本|ナンバー・ディスプレイ
NTT西日本|ナンバー・ディスプレイ/INSナンバー・ディスプレイ(オプション)
国際電話の発着信休止を申し込む
固定電話を利用している場合は、国際電話の発着信を無料で休止できます。
以下の電話番号から申し込みが可能です。
国際電話不取扱受付センター:0120-210-364
これらは、警視庁からの注意喚起でも提案されている対策方法です。


「+1」から始まる身に覚えのない国際電話には出ない、かけ直さない
すべての国際電話が危険ではありませんが、知らない番号の国際電話には出ない、折り返してかけないようにしてください。
本記事で解説している詐欺電話対策を利用して、未然に被害を防ぎましょう。
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- 「Microsoft」はMicrosoft Corporation の商標です。